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留置場・刑務所

執行猶予が付くメリットとは?実刑判決と執行猶予付判決の相違点を解説

執行猶予が付くメリットとは?実刑判決と執行猶予付判決の相違点を解説

– ニュースで、実刑、懲役刑、執行猶予などと聞くが、よく違いが分からない・・・
– 有罪判決になったら、刑務所行は免れないのだろうか・・・

日本の刑事司法には、懲役刑・禁錮刑、実刑判決・執行猶予付判決など、似ているようで違う言葉が多いため、ニュースを見て混乱する方も多いのではないでしょうか。
また、もし身内が刑事事件を起こして刑事裁判を受けることになり、有罪は免れない状況だったとしても、実刑判決になるか執行猶予付判決になるかには、社会生活を送る上で大きな違いがあります。

今回は、実刑と執行猶予の違いに加え、執行猶予判決になった場合のメリットと、執行猶予を獲得する方法について解説します。

実刑と執行猶予の違いとは

(1) 実刑判決

実刑判決とは、執行猶予がつかず、すぐに刑務所に収容される懲役刑、禁錮刑のことをいいます。
なお、懲役刑は刑務所で一定の作業が強制される刑罰、禁錮刑は刑務所で作業が強制されない刑罰のことをいいます。
とはいえ、刑務所は手持無沙汰になり、禁錮刑でも作業に参加する受刑者が多いようです。

(2) 執行猶予付判決

執行猶予とは、一定期間、刑罰の執行を猶予するという制度です。
執行猶予の期間中、新たに罪を犯すなどの問題を起こさなければ、刑務所に入らなくてもよくなるというものです。

懲役刑、禁錮刑だけでなく、罰金刑にも付けられることがあり、3年以下の懲役刑・禁錮刑、50万円以下の罰金刑の場合は、1~5年の期間の執行猶予を付けることができます。
よく、「懲役3年、執行猶予1年6月」といった判決が下されることがありますが、これは、「執行猶予期間である1年6か月を無事に過ごせば、本来3年間服役しなければいけなかった刑罰をナシにする」ということです。

(3) 実刑判決と執行猶予付判決の共通点

実刑判決も、執行猶予付判決も、有罪の判決である点で共通します。
そのため、どちらも前科がつく点でも共通します。

(4) 実刑判決と執行猶予付き判決の相違点

両者の違いは、すぐに刑務所に入らなければいけないかどうかという点です。

実刑判決の場合、判決が出た後、刑務所に入れられて服役します。
裁判になるまで留置場や拘置所に入れられていた身柄事件の場合は、実刑判決になると、手錠と腰縄をつけて刑務官に引率されて法廷に出て、判決後はまた同じ姿で留置施設に戻るため、一旦家に帰ることもできません。

一方、執行猶予付き判決の場合は、身柄事件だった場合は留置施設に荷物を取りに行くなどしますが、釈放されて家に帰ることができます。
その後は、これまで通りの生活を自由に送ることができます。

執行猶予判決のメリットとは

執行猶予判決にしてもらえれば、大きく分けて次の3つのメリットがあります。

(1) 執行猶予が付けば刑務所に行かなくて済む

執行猶予付きの判決になれば、その場で釈放されて刑務所に収監されずに済みます。
また、執行猶予期間中にまた犯罪を犯すなどをせず平穏に過ごせば、執行猶予期間が終了した時点で刑罰の効果が消滅し、今回の罪については刑務所に行かなくてもよいことになります。

(2) 執行猶予になれば身柄事件でも釈放される

執行猶予付きの判決になれば、その場で釈放されて自宅に戻ることが可能です。
その後は、今まで通りの日常生活を送ることができます。
通勤・通学、結婚、引越し、海外旅行(渡航先によっては条件に注意しましょう)も自由に行うことができます。
また、会社勤めの人が今回の事件でいったん退職していたとしても、執行猶予になればすぐに再就職活動をすることができますし、履歴書に長期の空白ができないことも大きなメリットになります。

(3) 執行猶予になれば取締役を続けられる

執行猶予付きの判決になれば、会社の取締役会社の取締役の立場にある人も、法律上は退職することなく取締役の仕事を続けることができます(会社法331条)。

執行猶予付きの判決をもらうには

(1) 執行猶予がつく条件とは

執行猶予を付けるかどうかは、裁判官が「情状」を考慮して決定します。
情状というのは、罪がさほど重くないこと、十分に反省していること、被害弁償を尽くして被害者も事件を許していること、家族のサポートがあることなど、事件の態様や様々な事情のことをいいます。

ただ、情状が良かったとしても、法律で決められた条件をクリアしなければ、執行猶予は付けてもらえません。
具体的には、
・刑罰が3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金であること
・前に禁錮以上の刑に処せられたことがない場合、あるいは、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免除があった日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない場合
という条件を満たす必要があります。

また、「再度の執行猶予」といって、前に禁錮以上の刑で執行猶予が付いた人が1年以下の懲役または禁錮刑になり、「情状に特に酌量すべきものがある場合」には、執行猶予付きの判決にしてもらえる場合もありますが、これはきわめて例外的な場合です。

(2) 実刑になる場合とは

反対に、実刑判決になる場合としては、重罪で上記の条件を満たさない場合や、犯行の態様が悪質な場合、執行猶予中に再び罪を犯した場合などがあります。
また、これまでに実刑を受けて服役したことがあるとか、再犯の可能性があるような場合は、執行猶予が付かず実刑判決になりやすいと言えます。

(3) 執行猶予を付けてもらうための方法とは

執行猶予付きの判決を獲得するには、上記の「情状」にあたる事情をできる限り整え、裁判官に伝えていくことが重要です。
具体的には、次のような事情が有効です。

被害者に示談してもらう

被害者に謝罪と被害弁償を尽くして、示談をしてもらいます。
中でも「宥恕」といって、事件を許す意思を表示してもらったり、罪を軽くしてやってほしいという「嘆願書」までもらうことができれば、さらに大きな要素になります。

家族のサポート体制を整える

再犯をしないということを示すために、ご家族のサポート体制や監督が万全である旨を伝えます。

反省と更生の意欲を見せるようにする

反省は内心からすることが基本ですが、事件を自ら振り返り、今後同じことを繰り返さないために、クリニックなどに通うことも有効です。
薬物事件や性犯罪、窃盗の中でもクレプトマニアといわれるような病的な窃盗癖などについては、専門に扱っている医療機関もあるので、弁護士を通じて取組みを伝えます。

いかがでしょうか。
今回お話したように、執行猶予には大きなメリットがありますが、獲得するためにはしっかり情状を伝えなければいけません。
示談やサポート体制の整備など、弁護士でなければできないことも多いので、執行猶予を獲得するためにはできるだけ早く弁護士に相談しましょう。

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