逮捕されたらどうなる?拘留から釈放、痴漢冤罪、盗撮冤罪など私選弁護士、国選弁護士について一連を解説。

弁護士に相談しよう!刑事事件編【釈放・不起訴】

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逮捕・勾留・釈放

前科・前歴の違いと具体的ケース-前科がついたら会社にばれる?

前科・前歴の違いと具体的ケース-前科がついたら会社にばれる?

逮捕されので前科がついてしまった…

時々このような悩みを耳にしますが、これは間違いです。
逮捕されただけでは前科はつきません

前科と前歴の違いとは

逮捕されるなど、被疑者として警察などの捜査の対象になったことを「前歴」といいます。
他方、前科とは、起訴されて、刑事裁判で有罪判決を受けたことをいいます。

前歴がつくケースとは

前歴がつく場合の例としては、逮捕されたけれど、不起訴処分になったような場合があります。
不起訴処分とは、捜査の対象になり逮捕されたけれど、検察官が事件を起訴しない、つまり刑事裁判にかけたり罰金刑にしないと決めた場合の処分のことをいいます。
不起訴になれば、捜査対象になった事実は残るので前歴はつきますが、そもそも裁判が開かれないので有罪になることもなく、前科がつくことはありません。

前科がつくケース

一方、前科がつくのは具体的には次のような場合があげられます。

略式裁判で罰金刑になった場合
略式裁判になると、裁判所での裁判は開かれず、罰金を払って事件は終了します。
刑務所に入ることはありませんが、罰金も刑罰なので、前科がつくことになります。

執行猶予判決がついた場合
例えば「懲役3年、執行猶予1年6月」、というような判決が下された場合です。
このような場合、直ちに刑務所に入る必要はなく、1年6か月の執行猶予期間を平穏に過ごせば、刑務所に入る必要はなくなります。
しかし、刑務所に入らなくてもよいといっても、有罪判決を受けたことに変わりはないので、前科がつくことになります。

実刑判決を受けた場合
例えば「懲役3年」というような判決が下された場合です。
執行猶予がつかず、判決が確定した場合は、刑務所に入ることになります。
このような場合、刑期を終えて出所した後も、前科はつくことになります。

前科は、警察・検察のデータベースに記録され、本籍地の市区町村の犯罪人名簿に記載されます。
警察・検察のデータベースは、その人が亡くなるまで消えることはありません。
本籍地の市区町村の犯罪人名簿は、刑の言い渡しの効力が消滅することによって、名前も削除されることになっています。

前科がついても海外旅行に行ける?前科が海外渡航に及ぼす影響とは

前科がついても海外旅行にいけるのか、心配な方もいるかもしれません。
今回は、前科が渡航に与える影響について、ケース別にご説明します。

既にパスポートを持っている場合

まず、既に発行されたパスポートを持っている場合は、パスポートの返納命令が出ない限り、そのまま利用して渡航することができます
パスポートの返納命令は、旅券法という法律に基づくもので、禁固以上の刑に処せられた場合に対象となる可能性があります。

日本は、基本的に国民の犯罪歴を外国に教えていないと言われていること、また多くの国にビザなく短期の旅行に行くことができます。
そのため、自己申告制の入国審査カードに犯罪歴を記載していなかったとしても、軽微な犯罪なら発覚する可能性は低いと言われています。

ただし、アメリカをはじめとして、短期の旅行でも前科がある場合は、事前にビザを取得する必要がある場合もあります。
国によって運用が異なるので、渡航前に在日領事館や大使館に確認しておくとよいでしょう。

パスポートの再発行が必要な場合

一定の犯罪を行い、パスポートの有効期限が切れ、再発行が必要な場合は、前科の内容によっては渡航の制限を受けることがあります
具体的には、パスポートの発行を申請する際に記入する「一般旅券発給申請書」に、刑罰関係について記載する項目があるので、該当する場合は「渡航事情説明書」や判決謄本などの必要書類をあわせて提出しなければいけません。

「一般旅券発給申請書」で聞かれる事柄は以下の6つの項目です。
①外国において退去命令又は刑に処せられたことがありますか。
②現在日本国法令により犯罪につき起訴されていますか。
③現在日本国法令により、仮出獄、刑の執行停止、執行猶予又は保護観察の処分を受けていますか。また刑の執行を受けなければならない状態にありますか。
④旅券法に違反して刑に処せられたことがありますか。
⑤日本国旅券や渡航書を偽造したり、又は日本国旅券や渡航書として偽造された文書を行使して(未遂を含む)、日本国刑法により刑に処せられたことがありますか。
⑥国の援助等を必要とする帰国者に関する領事館の職務等に関する法律を適用され外国から帰国したことがありますか。

就労ビザがいる場合

なお、海外で働くために就労ビザなどを取得する必要がある場合は、無犯罪証明書の提出が必要になることが大半です。
無罪犯罪証明書は、罰金判決後5年間、執行猶予期間が終了するまで発行してもらうことができません
前科がある場合は、判決謄本を大使館に提出して、ビザを発行してもらうように依頼しましょう。

前科がついたら会社にばれる?

前科がついても、基本的に会社にばれることはありません
ただ、就職活動や社内での異動など、前科が影響するかどうか心配になる場合もあると思います。
前科が仕事上影響する可能性について、ケースごとに説明します。

前科がばれる可能性とは

前科がついたかどうかは、警察・検察・本籍地の市区町村の犯罪人名簿に記載されている前科の内容は、一般企業や個人が知ることはできません
最近はネットで名前が晒されることがありますが、適正なルートで前科があることを知られるおそれは通常はないといってよいでしょう。

ただ、一般企業の場合、前科がつくということは、起訴されて有罪判決を受けたということなので、それまでの捜査段階で会社に犯罪の容疑をかけられていることが知られ、結果として前科がついたことを知られる可能性は否定できません。
たとえば、逮捕・勾留されて長期間会社を休まざるを得なかったり、会社の人に上申書を書いてもらう必要があったケースなどが考えられます。
会社との対応は、弁護士を間に入れることで理解を得やすくなることもあるので、相談してみるとよいでしょう。

就職活動で前科を知らせておくべきか

就職活動をする際に、前科があることを伝えるべきか悩むという方もいるかもしれません。
最近の履歴書には、前科があることを記載する「賞罰」欄がないものがほとんどです。
とはいえ、賞罰の有無を聞かれたのに隠して入社し、後々前科があることが知られた場合は、懲戒事由に該当します。

前科がついたら就けない仕事がある?前科が及ぼす資格制限とは

前科がついても、基本的に今の仕事を続けることができます。
しかし、仕事の職種によっては、前科がついたことが資格の欠格事由に該当する場合があります。

具体的には、以下のような仕事で前科があることが問題になります。

必ず資格が制限される資格(禁固刑以上)

裁判官
検察官
弁護士
保護し
調停委員
学校の校長・教員
教育委員会の委員
中央競馬の調教師・騎手
検察審査官
商工会役員
警備業者・警備員
建築士(一級,二級,木造建築士)
宅地建物取引主任者 
建設業者
古物商
公認会計士・公認会計士補
司法書士
質屋
不動産鑑定士・不動産鑑定士補
貸金業者
行政書士
旅客自動車運送事業者など
社会福祉士・介護福祉士
保育士
国家公務員
地方公務員
自衛隊員
人権擁護委員
商工会議所会員

資格が制限される期間は、実刑判決の場合は資格の種類によって実刑期間の満了からその後10年間にわたるものまで様々です。
また、執行猶予付きの判決が下された場合には、執行猶予期間の満了までが資格制限期間になります。

制限されるが、認められる場合もある資格

罰金刑以上
医師
歯科医師
薬剤師
看護師・准看護師、 保健師・助産師
調理師
柔道整復師
有罪以上
国際協力銀行役員
農林漁業金融公庫役員
日本政策投資銀行役員

資格が制限される期間は、罰金刑以下の場合は刑の執行が終り、またはその執行を免除されてから5年、実刑判決の場合は実刑期間が満了してから10年の間で、その間に罰金以上の刑に処せられないことが必要です。
執行猶予付きの判決が下された場合には、執行猶予期間の満了までが資格制限期間になります。

また、欠格事由に当たるとして資格を失った場合には、資格制限期間が過ぎたからといって当然復職できるというわけではないので注意が必要です。

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